みなさまの資金調達を応援します。あきらめない熱意が一番大事です。その熱意を事業計画に込めてください。そして、大いに語ってください。きっと上手くいきます。

資本政策と中長期計画

資本政策は、自社の現状と公開時点の自社の望ましい姿の差を調整していく作業ですが、その資本政策を策定する際にとても重要なのが将来の姿です。

この将来の姿とは会社が作成する中長期計画のことです。この計画の利益水準が実際と大きく異なると色々と問題が生じます。と申しますのも、公開申請期の利益水準は、時価総額や公開時の株価に大きく影響を与えるものだからです。この公開時の株価は、まず上場している類似会社のPER(株価収益率)等を勘案して算定されるフェアバリューに、ディスカウント(成長しそうかどうか、市場に流出する株数、直近の市場の状況などを勘案して決定される)が加味され、基準価格が決まります。この基準価格をもとに、ヒアリング等を主幹事証券会社が実施し、会社と協議して、仮条件が決定し、その仮条件でブックビルディングが行われ、その結果公募価格が決定されます。長くなってしまいましたが、まず最初にPERと言う言葉が出てきました。このPER=株価÷1株当たり利益(EPS)です。つまり、分母に利益がでてくるのです。会社の株価を決定する上で、利益は非常に重要にな数値です。これが予想と大きく異なりますと、公開時の株価も予想と大きく異なってきてしまいます。時には、未公開時よりも低くなってしまう場合もあります。そうなりますと上場を延期したり、十分な創業者利益が確保できなくなったりします。このため、中長期計画はしっかりと合理的な確度を維持する必要があります。

しかし、そうは言いながらも、だれも正確には将来のことはわかりません。昨今の社会の変化は目まぐるしく、来年のことですら分からない部分の方が多いでしょう。ですから、あくまでも、合理的な範囲内での予想です。ぴったりあってる必要はありません。しかし、公開審査の際には予算・実績管理の能力が要求されるので、必然的に一定レベルのものが要求されることにはなっています。

将来の利益を大きく予想して、高い株価で資金調達をしたいと思う一方で、実際の数字と乖離が激しければ、その数字の予測能力が疑われ、経営者としての適正性が疑われることもあります(もちろん、そこを見抜けない出資者が文句を言えた義理ではないのですが)。また、次回の資金調達の株価が高くなりすぎて、調達そのものが難しくなり、実際の利益水準と比較して、逆に株価を下げて調達せざる終えない可能性もあります。いずれにしても、あまりに楽観的、強気な将来予想だけではなくて、実際の状況を踏まえた計画を作成しましょう。

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