自社の借入能力
自社の借入能力のお話です。実際にお金が必要だけれども、どれほど融資が受けられるのか不明で、不安を感じられている方もいらっしゃると思います。その際に、あくまでも財務諸表上の数字の分析で、大まかな借入れ能力、といいますか、返済可能な水準というものを算定する指標があります。もちろん、これは過去の財務諸表上の数字ですから、今期の数字の反映していません。今期の業績が非常に伸びているところと、著しく悪化しているところではまったく別なのですが、一つの目安になります。
一番良く使用されるのが、債務償還年数=借入金/(当期純利益+減価償却費)という指標です。減価償却費は非現金支出費用ですから、これと税金を控除した後の当期純利益を合計した金額を大雑把な返済原資として、これで借入金額を除すというものです。一般的にはこの年数は10年以内といわれますが、なかなか困難です。中小企業白書によりますと、大企業の債務償還年数は2005年度で4.7年、一方中小企業では11.5年です。中小企業でも更に従業員20人以下(卸売業、サービス業、小売業では5人以下)という小規模企業の債務償還年数は19.2年となっています。規模が小さくなると、業績の不安定さから、この償還年数が増えてきてしますということはありますが、中小企業であっても何とか15〜20年以内に是非しなくてはいけないと思います。
また、自己資本比率=自己資本/総資本もよく使用される指標です。これは大企業ですと平均で36.6%、中小企業ですと27.4%となっています。やはり、中小企業でも20〜30%は維持していただきたいと思います。
他にも負債比率=有利子負債/自己資本(これは、200〜300%以内が望ましい)やインタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+受取利息・受取配当金)/支払利息(これは150%以上が望ましい)、借入金月商倍率=借入金/月間売上高(業種によっても異なるが、6倍以内が望ましい)があります。こうした指標に注意しながら自社の状況を適格に把握することが大事です。こうした財務分析は金融機関も行っているところです。相手のやり方をよく理解して、かつ自社の理解につなげていきましょう。