よいキャピタリストって何だろう?
以前、ベンチャーキャピタルのポイントとして、、@お金を集めること、A有望な投資先を見つけること、B安く出資すること、Cその株式を高く売ることと申し上げました。当然ですが、これらをこなすことが良いキャピタリストなのは間違いありません。
一方で、出資を受ける会社側から見た場合のキャピタリストの観点から、良いキャピタリストというのもありえます。通常、ベンチャー企業が出資を受けるのは、、@時間を買う、A会社の信用力が高まる、BVCからサポートが得られる、ということがあげられます。
@の観点から言えば、多額のお金をすばやく出資してくれるキャピタリストが望ましいということになります。しかし、このすばやくといっても、通常は社内の投資判断はいくつかの過程を経て決定されますので、早くても1ヶ月はかかります。特にどこもVCからも出資を受けていない、アーリー期の会社に投資するに当たっては、どのVCも慎重になります。従いまして、この数週間が費やされるのは当然のことと覚悟して、どのタイミングで、どの資料が必要となり、いつ判断が下されるということをある程度明確にできるキャピタリストは、よいキャピタリストに入ると思います。こうしたことが一定の確度で実施してもらわないと経営者も資金繰りがありますので、とても困ることになります。出資を仰ぐ時期は、経営者の方は、多くのVCに声をかけて、事業とお金集めとの綱渡りのスケジュールを行いますので、このスケジュールが狂いますとベンチャー企業にとっては死活問題です。ですから、スケジュールをある程度明確にし、これをしっかり守ってもらえるキャピタリストとお付き合いしましょう。
また、Aの観点から言えば、独立系の無名のVCよりも、大手のVCの方が取引の信用上はプラスに働くことになります。また、次の増資のタイミングのときも、無名のVCはその資金の出所が不明なので、敬遠される場合もあります。昨今、反社会的勢力の資金が新興市場やベンチャー企業に流入しているのを受けて、かなりナーバスになってきています。
更に、Bの観点から言えば、会社の外部環境をよく勉強して、そのビジネスに資する販売先や提携先の情報や優秀で有益な人物を積極的に紹介してくれたり、積極的に取締役会に出席して意見を発言し、会社の上場のための環境整備(証券会社や監査法人等のご紹介)を整えてくれるキャピタリストが望ましいのは間違いありません。
こうしたことをすべて網羅できるキャピタリストでも、あなたとウマが合わなければ仕方がありません。そういう意味では、VCから資金調達をしようと本気で思うなら、様々なキャピタリストとお会いして、しっかりと見極めるのが良いと思います。しかし、こちらが相手を気に入っても、相手がこちらの会社を気に入ってくれない可能性もたっぷりありますから、徹底的にビジネスモデルや事業計画を磨いて、フラれないようにしてください。